国際人道法及び国際人権法の違反行為について、その非人道性その他の罪質及びその処罰に係る国際的動向に鑑み、その処罰に係る法制度の整備に関し必要な事項を定めること。
【構成】
以下二~六において法制度の内容を定め、七においてその整備に当たっての詳細についての検討を義務付ける構成となっている。
【趣旨】
⑴~⑶について、国際的にもその処罰が強く求められていることから、特別の犯罪行為として処罰規定を体系的に整備するもの。
加えて、⑷について、PKO協力法等により国外に派遣された者は、派遣先での実力行使のための装備や権限を有している一方で、地位協定により、公務内であるか否かを問わず派遣先国の刑事裁判権が免除されることになる。特に、これらの者が、過失により人を死傷させた場合については、日本法上も処罰の根拠規定(国外犯処罰規定)がなく、いわば空白状態となっているため、これを整備するもの。
【現行法との違い等】
政府は、国際人道法違反行為については、そのほとんどが刑法等に含まれているとするが、国際的にもその処罰が強く求められていること、武力紛争状態において主として軍事的な実力組織の構成員によって犯されることが想定されるという特殊性に鑑み、特別の犯罪行為として国際的な標準に則った形で類型化するもの。
なお、PKOで海外に派遣された自衛官に対する本法の適用を明文で排除するものではない(PKO派遣協力法の想定外の事態が仮に起きた場合)
【趣旨】
軍事的な実力組織としての特性に鑑み、部下の犯罪行為を黙認したり、部下を監督する義務を怠った指揮官等の責任を通常の刑法よりも加重するもの。他方で、命令に従った行為者の責任を問うべきかどうかの基準を、下記六で自衛隊法上定めることとしている。
※ 二⑵・⑶の犯罪行為については、当面日本国民による行為を処罰することとし、普遍的管轄権行使の対象としないが、国際人道法・人権法上我が国として看過し得ないものであるから、経済制裁の対象とするための法整備を別途検討することとする。
二⑴~⑶の犯罪行為については、その重大性などに鑑み、公訴時効の対象としないものとすること。
「隊員は上官の命令に忠実に従わなければならない」旨を定める自衛隊法57条について、
①上官の命令に重大かつ明白な違法があるときは、これに従う義務がないこと、
②この場合において、当該命令が二⑴~⑶の犯罪の実行を命ずるものであるとき(隊員が当該命令の実施に当たりその旨を認識していたときを含む。)は、当該命令に従ってはならないこと
を明記すること。
【趣旨】
自衛隊員が上官の命令に従う義務があるのは原則であるが、各種法令違反が明らかであるなど、上官の命令に重大かつ明白な違法があるときは従う義務がないことを明確にする。更に、法令違反の中でも、本法の国際人道法・人権法違反行為を命ずるものであると外形的・客観的に見て判断できるときや、隊員がその命令を実施すれば国際人道法・人権法違反行為を犯すことになるという確定的な事実認識を持っている場合は、当該隊員は命令に従ってはならないこととし、上記三の4でも免責しないこととしている。他方、命令の実行が国際人道法・人権法違反行為に当たるかもしれないという程度の事実認識であれば、上官の命令に従った者は、三の4で免責されることとなる。
この法律は、公布の日から施行すること。
この法律は、国際人道法及び国際人権法の違反行為について、その非人道性その他の罪質及びその処罰に係る国際的動向に鑑み、その処罰に係る法制度の整備に関し必要な事項を定めることにより、国際人道法及び国際人権法の的確な実施を確保するとともに、そのための国際的な取組に資することを目的とすること。
① ジュネーブ諸条約及び第一追加議定書上の「国際的な武力紛争に係る重大な違反行為」、
② ジュネーブ諸条約及び第二追加議定書上の「非国際的な武力紛争に係る違反行為」、
③ 国際刑事裁判所に関するローマ規程上の「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」
について、処罰の対象とすること(具体的には、3~5頁の表①~③のとおり)。
このほか、④PKO協力法等により国外に派遣された者が、武器や自動車等の使用や管理に当たって必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合について、国民の国外犯処罰の対象とすること。
※ 以下は、条約上掲げられた違反行為のリストである。具体的な構成要件の定め方などの詳細項について、七で検討を義務付けている。
条約の規定 | 「重大な違反行為」の内容 | ||
---|---|---|---|
第一条約 | 50条等 | 殺人 | |
50条等 | 拷問、非人道的待遇(生物学的実験を含む) | ||
50条等 | 身体・健康に対して故意に重い苦痛を与え、又は重大な障害を与えること | ||
50条等 | 軍事上の必要によって正当化されない不法かつ恣意的な財産の広範な破壊・徴発 | ||
第三条約 | 130条等 | 捕虜・文民を強制して敵国の軍隊で服務させること | |
130条等 | この条約に定める公正な正式の裁判を受ける権利を奪うこと | ||
13条 | 捕虜を死に至らしめ、又はその健康に重大な危険を及ぼすこと | ||
第四条約 | 147条 | 被保護者を不法に追放・移送・拘禁すること | |
147条 | 人質にすること | ||
第一追加議定書 | 11条 | 医療上の基準に適合しない医療措置、身体の切断等 | |
85条3 | 次の行為が、議定書の関連規定に違反して故意に行われ、死亡又は身体・健康に対する重大な障害を引き起こす場合 | ||
⒜ 文民たる住民等を攻撃の対象とすること | |||
⒝ 文民又は民用物に対する無差別攻撃 | |||
⒞ 危険な力を内蔵する工作物等に対する攻撃 | |||
⒟ 無防備地区・非武装地帯を攻撃の対象とすること | |||
⒠ 戦闘外にある者(投降の意図を表明した者等)を攻撃の対象とすること | |||
⒡ 赤十字等の特殊標章等の背信的使用 | |||
85条4 | 次の行為が、諸条約・議定書に違反して故意に行われる場合 | ||
⒜ 占領国による占領地域への自国民等の移送 | |||
⒝ 捕虜又は文民の送還の不当な遅延 | |||
⒞ アパルトヘイトの慣行等 | |||
⒟ 特別の保護が与えられた歴史的建造物、芸術品、礼拝所の広範な破壊 | |||
⒠ 公正な正式の裁判を受ける権利を奪うこと |
条約の規定 | 主な規定の内容 | |
---|---|---|
第一条約から第四条約まで | 共通3条 | 敵対行為に直接に参加しない者に対する次の行為の禁止 |
⒜ 生命及び身体に対する暴行、特に、あらゆる種類の殺人、傷害、虐待及び拷問 | ||
⒝ 人質 | ||
⒞ 個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で体面を汚す待遇 | ||
⒟ 正規に構成された裁判所で文明国民が不可欠と認めるすべての裁判上の保障を与えるものの裁判によらない判決の言渡及び刑の執行 | ||
傷者及び病者の収容・看護 | ||
第二追加議定書 | 4条2 | 敵対行為に直接参加していない者に対する次の行為の禁止 |
⒜ 人の生命、健康又は心身の健全性に対する暴力、特に、殺人及び虐待(拷問、身体の切断、あらゆる形態の身体刑等) | ||
⒝ 集団に対する刑罰 | ||
⒞ 人質をとる行為 | ||
⒟ テロリズムの行為 | ||
⒠ 個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で体面を汚す待遇、強姦、強制売春及びあらゆる形態のわいせつ行為 | ||
⒡ あらゆる形態の奴隷制度及び奴隷取引 | ||
⒢ 略奪 | ||
⒣ ⒜から⒢までの行為を行うとの脅迫 | ||
4条3 | 児童に対する特別の保護 | |
5条 | 武力紛争に関係する理由で自由を奪われた者の扱い | |
6条 | 武力紛争に関係する犯罪を訴追・処罰する際の諸原則 | |
7条 | 傷病者・難船者の尊重・保護 | |
8条 | 傷病者・難船者等の捜索・収容等 | |
9条 | 医療要員・宗教要員の尊重・保護 | |
10条 | 医療活動の保護 | |
11条 | 医療組織・医療用輸送手段の保護 | |
12条 | 特殊標章の使用・尊重 | |
13条 | 軍事行動から生ずる危険からの文民の一般的保護、攻撃の禁止 | |
14条 | 文民たる住民の生存に不可欠な物の保護 | |
15条 | 危険な力を内蔵する工作物等(ダム、堤防、原子力発電所)の保護 | |
16条 | 文化財及び礼拝所の保護 | |
17条 | 文民の強制的移動の禁止 | |
18条 | 救済団体及び救済活動の保障 |
条約の規定 | 「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」の内容 | |
---|---|---|
ローマ規程 | 6条(集団殺害犯罪) | 国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次の行為 |
⒜ 当該集団の構成員を殺害すること | ||
⒝ 当該集団の構成員の身体又は精神に重大な害を与えること | ||
⒞ 当該集団に対し、身体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を故意に課すること | ||
⒟ 当該集団内部の出生を妨げることを意図する措置 | ||
⒠ 当該集団の児童を他の集団に強制的に移すこと | ||
7条(人道に対する罪) | 文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次の行為 | |
⒜ 殺人 | ||
⒝ 絶滅させる行為 | ||
⒞ 奴隷化すること | ||
⒟ 住民の追放又は強制移送 | ||
⒠ 国際法の基本的な基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しい剥奪 | ||
⒡ 拷問 | ||
⒢ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | ||
⒣ 政治的、人種的、国民的、民族的、文化的又は宗教的な理由、性に係る理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく特定の集団等に対する迫害 | ||
⒤ 人の強制失踪 | ||
⒥ アパルトヘイト犯罪 | ||
⒦ その他の同様の性質を有する非人道的な行為であって、身体・心身の健康に対して故意に重い苦痛・障害を与えるもの | ||
8条(戦争犯罪) | ジュネーヴ諸条約に対する重大な違反行為(①の第一条約、第三条約及び第四条約違反行為と同様) | |
確立された国際法の枠組みにおいて国際的な武力紛争の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反(①のジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書違反行為と同様のもののほか、次の行為) | ||
⒜ 助命しないことを宣言すること | ||
⒝ 毒物等を使用すること | ||
⒞ 窒息性ガス等を使用すること | ||
⒟ 人体内において容易に展開し、又は扁平となる弾丸を使用すること | ||
⒠ 性質上過度の傷害若しくは無用の苦痛を与え、又は本質的に無差別な兵器等を用いること | ||
⒡ 個人の尊厳を侵害すること | ||
⒢ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | ||
⒣ 文民等の存在を、特定の地点・地域又は軍隊が軍事行動の対象とならないようにするために利用すること | ||
⒤ 特殊標章を使用している建物、物品等を故意に攻撃すること | ||
⒥ 文民からその生存に不可欠な物品を剥奪することによって生ずる飢餓の状態を故意に利用すること | ||
⒦ 15歳未満の児童を自国の軍隊に強制的に徴集すること等 | ||
国際的性質を有しない武力紛争の場合には、ジュネーヴ諸条約共通第3条に規定する著しい違反(敵対行為に直接に参加しない者に対する次の行為) | ||
⒜ 生命及び身体に対し害を加えること | ||
⒝ 個人の尊厳を侵害すること | ||
⒞ 人質をとること | ||
⒟ 正規の裁判所の判決によることなく刑の言渡し・執行を行うこと | ||
確立された国際法の枠組みにおいて国際的性質を有しない武力紛争の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反(①のジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書違反行為と同様の一部のもののほか、次の行為) | ||
⒜ 特殊標章を使用している建物、物品等を故意に攻撃すること | ||
⒝ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | ||
⒞ 15歳未満の児童を自国の軍隊に強制的に徴集すること等 |
2 犯罪行為の防止についての監督義務の懈怠
3 犯罪行為の通報の懈怠
指揮官又は文民の上官が、自己の部下が行った上記二①から③までの犯罪に係る行為について、捜査又は訴追を所管する当局に対して遅滞なく通知することを怠ったときは、これを処罰すること。
4 命令に基づく行為
上記二①から③までの犯罪が指揮官又は文民の上官の命令に基づいて行われたものであるときは、当該命令が六⑵に該当する場合を除き、罰しないこと。
上記二の犯罪(上記三の1から3までに係るものを含み、二の④を除く。)について、公訴時効の対象としないものとすること。
自衛隊法の一部を改正し、隊員は上官の命令に忠実に従わなければならない旨を定める自衛隊法第57条について、
を明記すること。
この法律は、公布の日から施行すること。
条約の規定 | 「重大な違反行為」の内容 | 刑法等上の該当犯罪・法定刑 | 新法における構成要件 | 新法における法定刑 | |
---|---|---|---|---|---|
第一条約 | 50条等 | 殺人 | 殺人(死刑又は無期・5年以上の懲役) | ||
50条等 | 拷問、非人道的待遇(生物学的実験を含む) | 逮捕監禁(3月以上7年以下の懲役)、傷害(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、傷害致死(3年以上の有期懲役)、殺人未遂(殺人と同様)、強制性交等(5年以上の有期懲役)、強要(3年以下の懲役)等 | |||
50条等 | 身体・健康に対して故意に重い苦痛を与え、又は重大な障害を与えること | 傷害、傷害致死等 | |||
50条等 | 軍事上の必要によって正当化されない不法かつ恣意的な財産の広範な破壊・徴発 | 建造物等損壊(5年以下の懲役)、器物損壊(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金・科料)、強盗(5年以上の有期懲役)、恐喝(10年以下の懲役)等 | |||
第三条約 | 130条等 | 捕虜・文民を強制して敵国の軍隊で服務させること | 逮捕監禁、強要等 | ||
130条等 | この条約に定める公正な正式の裁判を受ける権利を奪うこと | 殺人、逮捕監禁等 | |||
13条 | 捕虜を死に至らしめ、又はその健康に重大な危険を及ぼすこと | 殺人、殺人未遂、傷害、傷害致死等 | |||
第四条約 | 147条 | 被保護者を不法に追放・移送・拘禁すること | 逮捕監禁、強要等 | ||
147条 | 人質にすること | 強要、人質強要(6月以上10年以下の懲役)等 | |||
第一追加議定書 | 11条 | 医療上の基準に適合しない医療措置、身体の切断等 | 殺人、殺人未遂、傷害、傷害致死等 | ||
85条3 | 次の行為が、議定書の関連規定に違反して故意に行われ、死亡又は身体・健康に対する重大な障害を引き起こす場合 | 殺人、殺人未遂、傷害、傷害致死等 | |||
⒜ 文民たる住民等を攻撃の対象とすること | |||||
⒝ 文民又は民用物に対する無差別攻撃 | |||||
⒞ 危険な力を内蔵する工作物等に対する攻撃 | |||||
⒟ 無防備地区・非武装地帯を攻撃の対象とすること | |||||
⒠ 戦闘外にある者(投降の意図を表明した者等)を攻撃の対象とすること | |||||
⒡ 赤十字等の特殊標章等の背信的使用 | |||||
85条4 | 次の行為が、諸条約・議定書に違反して故意に行われる場合 | ||||
⒜ 占領国による占領地域への自国民等の移送 | 占領地域への移送(5年以下の懲役) | ⒟一に掲げる事態において、占領に関する措置の一環として占領地域に入植させる目的で、当該国の国籍を有する者又は当該国の領域内に住所若しくは居所を有する者を当該占領地域に移送 | 5年以下の懲役 | ||
⒝ 捕虜又は文民の送還の不当な遅延 | 捕虜の送還遅延(5年以下の懲役)、文民の出国等の妨げ(3年以下の懲役) | ・捕虜の送還に関する権限を有する者が、捕虜の抑留の原因となった武力紛争が終了した場合において、正当な理由がないのに、当該武力紛争の相手国への捕虜の送還を遅延(送還に適する状態にある傷病捕虜の送還地への送還を遅延させたときも同様) ※「捕虜」…次のイ又はロに掲げる者であって、第三条約及び第一追加議定書において捕虜として取り扱われるもの イ 第三条約第4条に規定する者 ロ 第一追加議定書第44条1に規定する者(同条2から4までの規定により捕虜となる権利を失う者を除く。) ※「傷病捕虜」…捕虜であって、第三条約第110条第1項(1)から(3)までに該当する者・出国の管理に関する権限を有する者が、正当な理由がないのに文民の出国を妨げること(占領地域からの出域の管理に関する権限を有する者が、正当な理由がないのに、文民(被占領国の国籍を有する者を除く。)の占領地域からの出域を妨げたときも同様) ※「文民」…次のイ又はロに掲げる者であって、第四条約及び第一追加議定書において被保護者として取り扱われるもの イ 第四条約第4条第1項に規定する者(同条第2項及び第4項の規定により被保護者と認められない者を除く。) ロ 第一追加議定書第73条に規定する者 |
・5年以下の懲役 ・3年以下の懲役 |
||
⒞ アパルトヘイトの慣行等 | 傷害、傷害致死、殺人未遂、強制性交等、強要等 | ||||
⒟ 特別の保護が与えられた歴史的建造物、芸術品、礼拝所の広範な破壊 | 重要な文化財の破壊(7年以下の懲役) | 次に掲げる事態又は武力紛争において、正当な理由がないのに、その戦闘行為として、歴史的記念物、芸術品又は礼拝所のうち、重要な文化財として政令で定めるものを破壊 一 第一追加議定書第一条3に規定する事態であって、次のイ又はロに掲げるもの イ 第一追加議定書の締約国間におけるもの ロ 第一追加議定書第96条2の規定により第一追加議定書の規定を受諾し、かつ、適用する第一追加議定書の非締約国と第一追加議定書の締約国との間におけるもの 二 第一追加議定書第一条4に規定する武力紛争(第一追加議定書第96条3の規定により寄託者にあてた宣言が受領された後のものに限る。) | 7年以下の懲役 | ||
⒠ 公正な正式の裁判を受ける権利を奪うこと | 殺人、逮捕監禁等 |
条約の規定 | 「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」の内容 | 刑法等上の該当犯罪・法定刑 | 新法における構成要件 | 新法における法定刑 | |
---|---|---|---|---|---|
ローマ規程 | 6条(集団殺害犯罪) | 国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次の行為 | |||
⒜ 当該集団の構成員を殺害すること | |||||
⒝ 当該集団の構成員の身体又は精神に重大な害を与えること | |||||
⒞ 当該集団に対し、身体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を故意に課すること | |||||
⒟ 当該集団内部の出生を妨げることを意図する措置 | |||||
⒠ 当該集団の児童を他の集団に強制的に移すこと | |||||
7条(人道に対する罪) | 文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う次の行為 | ||||
⒜ 殺人 | |||||
⒝ 絶滅させる行為 | |||||
⒞ 奴隷化すること | |||||
⒟ 住民の追放又は強制移送 | |||||
⒠ 国際法の基本的な基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由の著しい剥奪 | |||||
⒡ 拷問 | |||||
⒢ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | |||||
⒣ 政治的、人種的、国民的、民族的、文化的又は宗教的な理由、性に係る理由その他国際法の下で許容されないことが普遍的に認められている理由に基づく特定の集団等に対する迫害 | |||||
⒤ 人の強制失踪 | |||||
⒥ アパルトヘイト犯罪 | |||||
⒦ その他の同様の性質を有する非人道的な行為であって、身体・心身の健康に対して故意に重い苦痛・障害を与えるもの | |||||
8条(戦争犯罪) | ジュネーヴ諸条約に対する重大な違反行為(⑴の第一条約、第三条約及び第四条約違反行為と同様) | ||||
確立された国際法の枠組みにおいて国際的な武力紛争の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反(⑴のジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書違反行為と同様のもののほか、次の行為) | |||||
⒜ 助命しないことを宣言すること | |||||
⒝ 毒物等を使用すること | |||||
⒞ 窒息性ガス等を使用すること | |||||
⒟ 人体内において容易に展開し、又は扁平となる弾丸を使用すること | |||||
⒠ 性質上過度の傷害若しくは無用の苦痛を与え、又は本質的に無差別な兵器等を用いること | |||||
⒡ 個人の尊厳を侵害すること | |||||
⒢ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | |||||
⒣ 文民等の存在を、特定の地点・地域又は軍隊が軍事行動の対象とならないようにするために利用すること | |||||
⒤ 特殊標章を使用している建物、物品等を故意に攻撃すること | |||||
⒥ 文民からその生存に不可欠な物品を剥奪することによって生ずる飢餓の状態を故意に利用すること | |||||
⒦ 15歳未満の児童を自国の軍隊に強制的に徴集すること等 | |||||
国際的性質を有しない武力紛争の場合には、ジュネーヴ諸条約共通第3条に規定する著しい違反(敵対行為に直接に参加しない者に対する次の行為) | |||||
⒜ 生命及び身体に対し害を加えること | |||||
⒝ 個人の尊厳を侵害すること | |||||
⒞ 人質をとること | |||||
⒟ 正規の裁判所の判決によることなく刑の言渡し・執行を行うこと | |||||
確立された国際法の枠組みにおいて国際的性質を有しない武力紛争の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反(⑴のジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書違反行為と同様の一部のもののほか、次の行為) | |||||
⒜ 特殊標章を使用している建物、物品等を故意に攻撃すること | |||||
⒝ 強姦、性的な奴隷、強制売春、強いられた妊娠状態の継続、強制断種その他あらゆる形態の性的暴力 | |||||
⒞ 15歳未満の児童を自国の軍隊に強制的に徴集すること等 |
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